コンクリートのあまり方 #05

0211
九州に来ています。
福岡県と大分県の県境の近くにある「上毛町(こうげまち)」に蛍を撮るため……なのですが、上毛町に来るときは必ず大分に移住した友だちを訪ねるのが慣例行事と化しています。

今回は同じ時期に大分へ来た友人も踏まえ、再会からのぶらり国東半島めぐり。

海の見えるテラス席でひらめのさしみや唐揚げがいただける「ひらめ処」でランチです。

到着すると、そこにはいかにもD.I.Yが得意そうなおじさんが、ヨットを運ぶ金属の台車を溶接中。
「どうぞどうぞー」と気さくに店内へ誘います。

食堂は階段を上がって2階。
海が一望できる眺めですが、その前にはさらに眺めの良さそうなテラス席が!

本当はテイクアウトメニュー限定の外席とのことですが、料理を自分たちで運ぶと提案して、レストランメニューをテラス席で堪能。

実際に座ってみるとまだ木が新しい。
明らかにあのおじさんが作ったのだろうと察しがつきます。

ふかふかで旨味の詰まったヒラメ料理を堪能していると、後方からゴゴゴゴと重機の音。何かしら、と振り返ると、ユンボが豪快に砂を掻き出し大穴を開けています。しかもユンボを操作しているのはあの店主じゃないですか。あんたの手はいったいなにまで作るんだ、と。

あまりに気になったので声を掛けると
「コンクリートが余ったから、スロープ作ろうかと思って」
とのこと。

ははーん、おそらくこのテラスの基礎工事に使ったやつですね。
でもスロープってどうやって作るの?
そう思っていると、ゴゴゴゴとまた新たな重機音が。
ピーピーピーとバック音を鳴らしながら現れだのは、生コンクリート車……だと!?

ほどよいところで止まり「いいよー」と声を掛けると、中央のローラー部分がゴォウンと声を上げて回り出し、ウミガメの産卵さながら、感動的な量のコンクリートがドシャシャシャシャーッと流れ出てきました。

穏やかなビーチに不似合いな、その壮大で感動的な瞬間に立ち会い、言葉を失います。
「余る」のスケールでかすぎだし、時に田舎のおじさんの「作る」スキルは無限なのです。
「生きる力」の評価軸について、思わず考えてしまいました。
0231(20分)

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