あいうえお小説「忘却の町」 #13

あめが
雨が
いいかんじに
いい感じに
うめつくす
埋め尽くす
えのぐのにじんだ
絵の具の滲んだ
おもいでのまち
思い出の町。
かおをあげて
顔を上げて
きがついた
気がついた。
くべつがつかない
「区別がつかない
けしきたち
景色たち」
ことばにしたら
言葉にしたら
さみしくて
さみしくて
しっとりあめに
しっとり雨に
すべりこむ
滑り込む。
せなかあわせの
背中合わせの
そのせかい
その世界。
ちあがって
ち上がって
つぶやく
呟く
てをひくときだ
「手を引くときだ」
と。
なんて
なんて
にやりとわらい
にやりと笑い
ぬけだす
抜け出す。
ねているまに
寝ている間に。
のんきなもんだ
「のんきなもんだ」
はれてきた
晴れてきた。
ひがさす
日が差す。
ふりかえっても 
「振りかえっても
へいきなものだな
平気なものだな」
ほんのすこし
ほんの少し
まじめに
まじめに
みつめて
見つめて
むかいあう
向かい合う。
めをあわせ
目を合わせ、
ものいわず
物言わず、
やりすごす
やり過ごす。
ゆうこときかない
云うことをきかない
よこしまな
邪な
らくがき
落書き。
りくつじゃない
理屈じゃない。
るすはばれてる
留守はバレてる。
れいせいに
冷静に
ろじをぬけて
路地を抜けて
わすれてしまえよいっそすべて
忘れてしまえよ、いっそすべて
をう
を。う
ん。

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