移住者としての東京暮らしについて #14

東京に暮らしはじめて21年になってしまった。

高校を卒業して18歳の時に生まれ故郷の新潟から上京してきた。
東京で暮らすことは小学生の頃から漠然と夢見ていた……というか決めていたことで、計画通りに実行したといえる。

東京に夢があったわけではない。
ただ、いま暮らしているところより「いろいろある」ところがあるのならば、一度風上に暮らしてみたいと思ったのだ。

東京へ出てきて、過剰な期待もなかったので落胆もなかった。
都会の暮らしははじめの頃こそ友だちがいなくて不安に思ったこともあったけれど、徐々に友だちも増えていった。

気がつけば生まれ故郷よりも長く東京に暮らしている。

……おかしい。
21歳の時に、新潟で暮らした同等の、次の「18年」はニューヨークで暮らしているはずだったのに、自我と決定権をもって東京で暮らした18年は新潟のそれより濃密で、いろんな事情で東京を離れるわけにいかなかった。

でも、一生このまま東京暮らしかと思うとそれは想像がつかない。
どうなるかは分からないけれど、きっとこの東京暮らしだって期限付きだろう。
それならばいま、なにが出来る? なにをしていない?

その答えが「東東京で暮らすこと」だった。

初めて暮らした「東京」は北千住だった。
就職先の寮があって、選択の余地はなく、そこでどこかも分からぬまま2年過ごした。
憧れの原宿や下北沢は遠くて、貯金と土地勘が貯まり次第西東京に引っ越してきた。

それからずっと、西東京で暮らしている。
東東京のことをなにも知らない。

移住者はよそ者だ。
地に足が着くまでは少し滞在の長い旅行社といってもいい。
拠点を構えて、その都市を味わうことが出来る。わたしは東京の西側知らない。それって、「移住者として東京暮らし」と考えた場合、もったいないのでは、と思った。

東東京なんて土地勘さえも全然ないけれど、だからこそ興味がある。
今さら休みの日に必ず出掛けるようなアグレッシブさもないのだから、最悪土地が合わないと思ったのなら部屋に閉じこもって次の更新で引っ越せばいい。2年なんてあっという間だ。

次の引っ越しは東東京に暮らそう!

それだけ決めて、2ヶ月前に申請する転居届だけ出した。
いまの部屋は7月末で暮らせなくなる。
新居はまだ決まっていない。
暦は早くも6月半ば。

目の前の仕事をぎりぎり終わらせて、ふと息をつくと不安が立ち込める。
家が決まっていないってこんなにも落ち着かないのだな。

早く不動産屋さん巡りくらいしなくっちゃ。
そう思いながらいつも眠気に負けて目をつぶる。

東東京での暮らしを寝ても覚めても夢見てる。


写真は住処の袋からひょっこり顔を出してくれたハリネズミ。

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